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PERとは何か——目安は「業界ごと」に見ないと意味がない
最終更新: 2026-08-13T00:00:00.000Z
PER(Price Earnings Ratio・株価収益率)は「時価総額 ÷ 純利益」で計算される、最も有名なバリュエーション指標です。「株価が1年分の利益の何倍まで買われているか」を表し、たとえばPER20倍なら、理論上いまの利益水準が20年続けば投資額を回収できる計算になります。
「PER15倍以下は割安」が通用しない理由
投資の入門書には「PERの目安は15倍前後、それ以下なら割安」と書かれていることがあります。しかしこの一般論をそのまま使うと、ほぼ確実に判断を誤ります。理由は、PERの水準は業界によってまったく異なるからです。
市場が高い利益成長を織り込む業界(半導体やSaaSなど)では、PERは30〜50倍が「普通」です。逆に成熟していて成長余地が限られる業界(銀行・自動車など)では、10倍前後が定位置になります。半導体株のPER35倍を「割高だ」と切り捨てたり、自動車株のPER8倍を「バーゲンだ」と飛びついたりするのは、業界の相場観を無視した判断です。
大切なのは「その銘柄のPERが、同じ業界の他社と比べて高いのか低いのか」という相対比較です。本サイトの業界ページでは、業界ごとのPERの平均・中央値を一覧できるので、まず業界の水準を掴んでから個別銘柄を見る、という順番で使ってください。
平均と中央値が大きくズレたら要注意
業界のPERを見るときは、単純平均だけでなく中央値も確認してください。少数の超高PER銘柄(利益がまだ小さい急成長企業など)が混ざると、平均は簡単に吊り上がります。平均50倍・中央値25倍のような業界では、実態に近いのは中央値の方です。本サイトの各業界ページには、平均と中央値の乖離が大きい場合に自動でコメントが表示されます。
PERが「計算できない」銘柄の意味
PERは純利益がマイナス(赤字)だと計算できません。本サイトでは赤字銘柄のPERを「—」と表示しています。これは欠陥ではなく重要な情報で、業界内にPERを計算できない企業がどれくらいあるか自体が、その業界の成熟度を映します。赤字企業が多い業界では、PERではなくPSR(株価売上倍率)で比較するのが定石です(詳しくはPSRとRule of 40の記事へ)。
PERを使うときのチェックリスト
PERを見るときは、次の4点を順番に確認するのがおすすめです。第一に、業界の中央値と比べて高いか低いか。第二に、平均と中央値が乖離していないか。第三に、直近利益に一時的な要因(資産売却益・減損など)が含まれていないか。第四に、利益成長率とセットで見ているか——同じPER30倍でも、利益が年30%成長する会社と横ばいの会社ではまったく意味が違います。
PERは便利な指標ですが、単独では「安い・高い」を判定できません。業界の水準と成長率をセットで見る習慣をつけることが、指標を使いこなす第一歩です。
具体例で確認する
簡単な計算例を挙げます。時価総額1,000億ドル・純利益40億ドルの企業のPERは25倍です。この企業の利益が年20%成長すると仮定すると、3年後の利益は約69億ドルになり、株価が変わらなければPERは14.5倍まで低下します。つまり高成長企業の高PERは「将来の利益で薄まる」ことを織り込んだ数字です。逆に利益が横ばいの企業のPER25倍は、3年後も25倍のままです。同じ25倍でもまったく意味が違う——これがPERを成長率とセットで見るべき理由です。業界ページで気になる企業を見つけたら、PERと売上成長率の両方を確認する癖をつけてください。